欧州プレミアムは今後もステータスシンボルでいられるのか?

かつてベンツ、BMWなどはステータスシンボルであったが、今や、学生でもフリーターでも手軽に乗れる時代。ファイナンスの進化と共に先人たちが築き上げたブランドという財産を食い尽くしている気がしてならない。クルマがステータスの時代を過ごした団塊の世代及びそれを幼少期に見つめていたジュニア達は、いつかはクラウン。。。という言葉に聞き覚えがあるだろう。
いきなり🚀メルセデス
某ステーキ店のような見出しで恐縮だが、昨今は登録台数至上主義及び残価設定ローン等の優れたファイナンスシステムによって短期間で乗り散らかされた大量のしかも”優良”な中古車が、市場に”大量”流出。これがまた安い。安い理由が、知り合いの中古車販売会社役員氏曰く、車は安いが修理代だけはプレミアム価格のために、客がつきにくく、総じて過剰在庫気味で相場が崩れやすいとのこと。そうなると、新車を買うのがアホらしくなる。
また、これらのおかげで、いわゆるサブプライム層でも手軽にメルセデスやBMWに乗れる。18歳で免許とって、最初のクルマがメルセデスは今やとても簡単な時代になりました
ステータスシンボルとサブプライムオーナーの間で、事件は起きた
その一端が例の煽り運転で一躍有名となった某事件。高級外車を数台乗り回し、とメディアでは言っているが、実際の車を見れば100万もあればお釣りがくるいわゆる”元高級車”ばかり。。。日本は世界的に見ても中古車激安天国なので、手軽にいわゆる”プレミアムブランド”にも対して実力がなくても乗れてしまう世の中に成り下がってしまった。
メルセデスもBMWもものづくりは最高。ブランド力は・・・
私もメルセデスやBMWに憧れ、車はとてもいい車なので今でも機会あれば所有したいが、”プレミアムカーに乗っている自分に満足”のためでなく、メカとして優れている車に乗りたいと言う思考に変わっている。もちろん、今でもプレミアムブランドの地位は間違い無いだろうが、徐々にその地盤は沈下を始めていないか心配である。
先代が築き上げたブランド力があるので、現在は「あのメルセデスが300万で乗れる」と言う言い方ができる。しかし、それが飽和してくると、もう「あの」と言う枕詞がつけにくくなる。鬼の72回払いや残価設定ローンさえ組めれば、簡単である。
これから自動車作りは”売るモノ”ではなく、交通インフラサービスプラットフォームの成功の為のキーエネーブラを目指せ。
現代のものづくりは、ビジネス中心で周り基本”拡大”路線をとる。その為、ボリュームが欲しくなる為どうしても裾野を広げざるを得ない。1000万円の車を100万台売るのは難しい。そうなると、販価を下げて数を増やすしかない。
しばらくはそれで食えるだろうが、やがてブランド力と言うチケットが効力をなくすといよいよジリ貧になる。その為、先人が作ったブランド力を食い尽くしている間、「それでもやっぱり」と言う領域を作らないと、コモディティ化の波に一気に飲まれ、いくらプレミアムでも、簡単に崩壊することになる。
買ってもらう車づくりではなく、選んでもらえるものづくり。
恐らく今後は、買ってもらうものづくりではなく、サービスプラットフォームでプレミアムを取れるような、ものづくりになっていくだろう。イメージは航空業界か。航空機のドンガラは同じだが、中身が各社争うようになっていくと、そんなことを感じている。それはそれで、まだまだやることがある業界であるのは間違いなさそうである。